「中古の太鼓は扱っていませんか?」という質問をいただきました。
当社については中古品の太鼓は一切扱っておりません。素性のわからない太鼓を買い取って、お客様に販売してご迷惑をおかけすることはできないからです。さらに太鼓は自動車などと違い太鼓は外見から見積もりができないため引き取り価格も設定できないためです。下取りを行わないために、中古も扱わないのです。
では、もし他で中古の太鼓を購入する場合はどこに注意したら良いのでしょうか。
■日本のメーカーの太鼓であること
日本のメーカーの製品でかつメーカー名のプレートが張ってあれば一応安心です。製造者が責任をもって製作した太鼓であるという保証になります。アフターサービス等がどの程度かは太鼓店によって違います。
最近では中国や東南アジアなどで製造された太鼓も輸入されています。中国製の太鼓などは胴に竜や獅子などの彫刻を施してあったりしていますが、こうした太鼓は国内での修理等ができないことが多く、価格が安いと安易に買っても結局あとで後悔するというケースも見受けられるようです。(「中国製太鼓」参照)
■材質は何か?
和太鼓でもっとも高級とされているのは本ケヤキ製の太鼓です。木目が美しく強度も一般の材に比べて強いため、太鼓に適しています。またケヤキに似ている材としてはセン(栓)があります。木目はケヤキと同様に美しく太鼓にも多く使用されますが、強度はあまり強くないため、胴をバチで叩いたりすると痛みやすい木です。トチ(栃)という材はマロニエとほぼ同じく白木で美しい木です。センよりも強度が弱いため、胴を叩く演奏には不向きです。他にも栗や楠などいろいろな材の太鼓があります。
最近ではフッ素樹脂などを使用して、表面に木目を印刷した太鼓も登場しています。こうした太鼓は強度はありますが、やはり音質的には堅い音になるようです。また何度か張り替えで鋲を打ち込んでいるうちに歌口の部分が割れてしまったという例もあります。
■胴の歌口が落ちていないか・口径は小さくないか
「歌口」とは太鼓胴のフチの部分をいいます。最近ではバチで叩く演奏が多いため、欠け落ちたりする太鼓が見受けられます。この部分を落としたり、堅いバチで叩くと欠けたり口径が小さくなって、皮が緩んだりします。撫でてみて確認してみましょう。(実際に皮をはがさないと解らない場合もあります)
以上の他にも、太鼓胴割れの修理痕などがあるなど目利きのポイントもありますが、最終的には購入される方が納得できる価格かどうかになります。修理痕などは「何ヶ所でいくら」という基準があるわけではありません。
太鼓の修理などは当社で行うことが出来ますから、譲ってもらったりした太鼓を皮張替・胴修理などを行えば新品同様になります。
中古の太鼓は取り扱いが難しいので、予算が許せば信頼できるメーカーの新品を購入するのがやはり一番良いでしょう。